神戸の路地から
神戸の路地から、政治についてぼやいたり叫んだりするブログ
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日だまりの老犬           (加島一正)

Author:日だまりの老犬           (加島一正)
神戸の下町でちっちゃな塾を営んでいる、団塊じいさん。
どんな子でも自立して社会に出れば、そこそこ幸せな生活ができるような世の中にしたくて、がさごそと動く今日この頃。
心がける合い言葉は、「あきらめず、しなやかにしたたかに。」



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あの震災から 19年
今日は阪神淡路大震災の記念日。あれから19年も経ってしまった。
屋根と風呂場が壊れ家は半壊となったけれど、家族と3匹の犬は無事だった。
塾として借りていた職場は全壊になったけれど、塾生は全員無事だった。
だから私は、震災の経験者ではあるが被害者ではない。

激しい揺れが襲ったとき妻をかばおうと動いたことで、箪笥の直撃から免れた。
枕は真っ二つに割れていた。
大きな火災が起こり火の手が広がったが、我が家に迫るまでに鎮火してくれた。
地盤が固い一画に建てていたお陰で、築45年の家は倒れることなく踏ん張ってくれた。
なんとか数百万円の借金だけで、一生住めるように修理してもらえた。
全てが幸運だった。だから私は、震災の被害者などとは言えない。

私達の周りには、もっともっとつらい目にあった人達がたくさんいる。
そんな人達を見ていると、時々後ろめたい気持ちになるときがある。
毎年の震災記念日は、経験者ではあるが被害者ではない私にとって、複雑な日だ。

近くでカフェを営んでいる知り合いがいる。同じ団塊の世代の仲間である。
その店がどうしたものか、ここ数日ずっと閉まっている。
震災前はこじんまりした感じのいい喫茶店で時々通っていたが、
震災後は大きなビルの1階の、おしゃれなダイニングカフェになった。
復興の名の下で乱立した巨大マンションの一角である。

神戸市長田区南部、神戸でも最も年寄りが多い下町である。
古くからここにある商店街群は、震災前から少しずつ廃れていた。
そこに起こった震災と火事で、老店主達はもう息が切れてしまった。
それでもなんとか頑張ろうとする経営者達は、まだ辛抱強く再開を待ち望んでいた。
そして、本当は元の小さな店でいいから、できるだけ早く再開したいと思っていたのに、
巨大開発好きの株式会社神戸市のせいで、さんざん待たされたあげく、
大金を用意しなければ再開できなくなっていた。

友人もそんな経営者の1人である。
なんとか資金を工面し、夢の再開にこぎつけた。
彼らの夢の分だけ店は大きく美しくなっていた。

ところが、再開した経営者達が現実の問題に直面するのは早かった。
運営経費は大幅に増え、収益は計画から大きく外れていた。
神戸市が提案した夢の未来と、実際の経営とは全く違っていたのである。
復興計画を立てた神戸市が愚かだったのか、それとも知っていて騙したのか、
店を再開した多くの経営者は、すぐに「進むも地獄、退くも地獄」に陥っていた。
ただでさえ、復興時から空き店舗があったのに、再開時すぐ閉店という店が続いた。
こうして、長田区南部の再開発は、
神戸市の無責任な自己満足と建設会社の利益だけをもたらし、
累々とした屍を残して終了した。

友人は早くから、神戸市の不誠実を見抜いていた。
復興建設の最中から神戸市と折衝を重ねていたらしい。
ただ、他の店主達はまだ神戸市の正体に気づかず、
連携はできないまま孤軍奮闘だったようである。
結果として、神戸市に押し切られたまま復興開店に至った。

その彼の店が、開いていないことが寂しい。
ついこの間まで、夫婦で一生懸命おしゃれな店を続けていたのに、
震災記念日の日に通りかかっても、張り紙もなくシャッターが閉まっていた。
きっと少し体を痛めて、休養しているだけだろう。
その内元気になって、気がついたら店が開いていることだろう。
心からそう思いたい。

複雑な気持ちで、シャッターを眺めているだけの自分の震災記念日。

(1月17日記)


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